
やって来たよ!こんにちは、軽井沢!
JR小海線の旅を終え小諸駅で、しなの鉄道(*001)へ最後の乗り換えをして、あと5駅というところで、逆方面に妻とトランクカートを引っ張って列車に乗ってしまった僕。。。
列車に乗り込んでドアがしまってから、行き先の方面を確かめようとする、僕が旅先ではよくする「物事はやってみてから考えよう!」方式での行動が、合成保存料着色料なしで失敗したことを悟った。
乗り換えのとき、放送されたアナウンスで、正しい発車ホームをぬかりなく聞いて、僕の類いまれ無い清らかな胸の奥底に大事にしまっておいたというのに・・・。
関東でももっともローカルな路線沿いに住む僕と妻が言うのも何なのだけど、小海線は日に14本の運行というローカルさだ。きっとそれに接続するしなの鉄道もそうに違いない!(正解だよ♪)
一駅でも間違えて、次のダイヤを待つとしたら、われわれの極めて精緻かつ銀行の金利ほどの余裕も無い明るい旅行計画に、にどんな支障をきたしてしまうやも知れない・・・。
そんな焦燥感たっぷり苦汁つゆだくの僕を乗せて、小諸駅から軽井沢とは逆方面の滋野駅に向かうのだった。
滋野駅に着くまでの間に、ふと車窓から外を眺めると、びっくりするような荘厳な景色がずっしりと存在した。列車内から撮影した写真では、その迫力・威厳・雰囲気はとても伝わらない!
後で調べてわかったのだが、千曲川に添うようにそそり立つ、中国桂林顔負けの岩山の布引岩!!!昔話が伝えられており、そこから「牛にひかれて善光寺参り」という慣用句が今に残っている。
ここを住まいとし通学通勤の場としている人たちには、毎日眺める不思議でも何でもない風景かもしれないが、その圧倒的な人間の持つ尺度にまったく収まりきらないまさに自然とした様に、僕は勝手に度肝を抜かれた。
NASAからどれだけシャトルを打ち上げて偉業を成したとしても、人には動かしえないようなもの、僕はそこで見て感じたのだった。
滋野駅に着くとホームに降りて、ぼんやり逆の電車を待とうとすると、今まで乗っていた電車のビビる大木そっくりの車掌さんが、これまたビビる大木そっくりの焦りようとすごい勢いでわれわれに走り寄って来た。
何かまずいことをしたのかな?といまいち乗ったことの無い路線の仕組みに戸惑っていると、「どちらに行かれますか?」と聞いてくる。
この無人駅の多い地方にあって、この駅は乗客が列車から降りるとき、切符を車掌に渡したり、料金を払っているのかもしれない。
だから料金未払いで降りようと疑われたのかも知れない。
そんなことを思いながら、逆方面に乗ってしまったので、軽井沢行きの電車を待っていると告げると、さらに慌てて次のダイヤを調べて教えてくれた。
一駅分もしかして料金を取られるのかな?と思っていると、車窓さんは次の軽井沢行きの発車時刻を告げるなり、あっけに取られている僕たちを残して、走って電車に戻っていった。
そして慌しく発車していく列車を眺めながら、ローカルな路線の車掌さんというのも大変なのだなと、感謝の念とともにしみじみ思うのだった。
幸いすぐに軽井沢行きの列車は、やって来た。
軽井沢行きの列車は、逆方面と違って、観光列車ですよ♪気分満々の内装だった。
逆方向へ運行する列車とは、使い分けをしているのだろうか?座椅子は僅かではあるがスライドするし、肘掛け付きだし、壁面のパネルは本物でないところが安っぽいが木目調だ。
新幹線と車の内装を足して2で割って、ちょこっとおまけを付けた感じだ。そんな感じの列車で、やっと小諸から軽井沢に向かって正しい方向の列車で向かった。
この時、時刻は、PM02:24分。
乗客のおばあちゃん比率が勢い上がり、列車内は老人ホームに来たかのようになってしまった。
そう若い人たちは、車か新幹線で来ちゃうんだね。
信濃追分駅あたりの車中で、乗り越し料金の精算をした。5駅行くだけなのに、1人420円(*002)という運賃の高さにびっくり。清算が済んで車掌さんが運転席に去ってからも、よっぽどもう一度確認しに行こうかと思ったほどだった。
むぅっ、恐るべし!しなの鉄道!逆方面に一駅多く乗ったので文句は言いたくないが、二人分で1000円札一枚があっという間にわずかな小銭になってしまった・・・。僕の声にならないせせこましい慟哭のたけりを聞け!!
景色は一般の住宅街が、ふつーーーーに線路沿いに見えて、時たま白樺の木立がちょっとばかり観光地っぽい感じがする。無理やりそう見ようとしてだが・・・。
いよいよ軽井沢駅一駅手前の中軽井沢駅に着くと、軽井沢という名前の付く駅だから、こりゃ駅前の雰囲気がすっかり軽井沢しているに違いないと思い希望に胸膨らませて車窓から外を眺めると、そこから望める限りでは寂れた感じ・・・。(*003)
駅前に止まっているタクシーの運ちゃんがぶらぶらと暇そうにしている。特に雨上がりのというくすんだ情景の中にあって、運ちゃんのブルーのジャケットがちぐはぐな勘違い感を醸し出していた。
ふっ、ふん!軽井沢に着けば、そりゃもう立派に軽井沢してるもんさっ!と自己暗示と自己欺瞞を強烈に自分に浴びせつつ、電車はいよいよ終点軽井沢へ。
そしてついに!ついに!やっとこさ、えんやこらさと軽井沢の地に到着した僕たちだった。
ゴォーーール!7時間半の旅!!
でもかなり寒かった。駅前の感じは、んっ、茅ヶ崎(神奈川県)・・・といった印象で、駅前のロータリーの感じがなんとなく似ていた。
天候は持ち直したとはいえ、良いとも悪いともいい難く、関東より1ヵ月も2ヵ月も前にシフトした季節のような寒さに、ともかくさっそくペンションに向かうことにした。
途中乗り間違えがあったとはいえ、あっさり疲れもせず到着できたのは、かなり予想外だった。(*004)
ではでは!着いたからには、さっそくペンションにチェックインして、荷物を置き、さっそく駅前探訪をしちゃおうではないか!さっそく時間を1ミリセカンドのわずかな時間も無駄にせず、着いてからものの十数分で、軽井沢観光気分にどっぷり浸ろうではないか!と、もうまるで軽井沢を自分の街にしたかのような意気込みだった。
そして郊外型ならではの広い歩道を、おのぼりさん状態であっちこっち首が振り切れるぐらい眺めまわしながら、今回宿泊予定の「軽井沢プリンセスペンション」を探した。
捜し歩いているうちに、だんだんとペンションの口コミ情報の記載(*005)が気になって来て、気持ちになんだか変な構えが芽生えてくるのだった。
ペンションの寂れ具合はきっとこのぐらいだ、名物オーナーの対応ではフランクな気持ちで臨もう、ほんとにクレジットカード使えるのかしら?・・・、などなど、地図を片手に道を確かめつつ進む妻の横を歩きながら、黙々とあふれ出るペンションの妄想から来る洗礼に、リラックスして観光しに来たのに、入院しにきたかのごとく挑む気持ちの僕なのであった。
妻だけは何が何でも守ってみせる!そう堅く誓って歩みを進めるのであった。・・・何をしに来たんだ、ボクは。。。
そんなペンションには失礼いっぱいの気持ちを抱えたまま、木立の中にいよいよ軽井沢プリンセスペンションを見つけたのであった。好御期待!!!
