
軽井沢到着初日の軽井沢ショッピングプラザ
軽井沢到着初日、ペンションにチェックインした僕と妻は、さっそく軽井沢駅の側にある、郊外型のこれでもか!足を痛めるほど広いぞ!といった感じのアウトレットショッピングモール「軽井沢ショッピングプラザ」(*001)での観光を始めた。
前もって調べておいたとはいえ、これがまた広いのなんの!!!
さっそく他の地にはない軽井沢ならではの何かを期待して、ウインドウショッピングすることに。
このアウトレット軽井沢ショッピングプラザは、広大な敷地に5つのエリア・・・ニューウエスト、ウエスト、ニューイースト、イースト、味の街・・・で、構成されている。
その数、実に195店舗!!!敷地の真ん中に美しい芝生のひろばがあり、それをコの字で取り囲むように、ショップが展開している。
この軽井沢旅行の1、2週間前ぐらいだろうか、TBSテレビ「ぴったんこカン・カン」で、安住紳一郎アナと女優 高畑淳子さんが軽井沢を歩く内容の番組(*002)を見たばかりだたので、あぁこれ!これ!といった「ボク、これテレビで見たも〜ん!」視線でさまざまなショップを見ることができた。
ファッションブランドは名の知れた人気ブランドが軒並み入っている。アルマーニ、フォリフォリ、ピンキー&ダイアン、ニューヨーカー、ジュンメン、マーガレット・ハウエル、メルローズ、アニエス ベー、コーチ、ポール・スミス、ビームス、タケオキクチ・・・などなどなど、しかもお高い!!!そう、アウトレットショップはその名前から、割安感&お得感を感じ期待させるが、実質高い!
50%オフ!!とかに惹かれて、値札を見てみると、もともとお高い通常価格6万円が3万円になっていてりして、うれしくない。極めて遺憾である!いかん!いかんよ!チミ!!ここは是非とも1万円なら1千円ぐらいに、そして消費税はなし!いや−150%の税率にして頂いて、商品とお金をもらっちゃうぐらいでなければお天道様に顔向けできないってモンダミン、みのもんた。
アウトレットの市場価格にせこい注文をつけまくる僕の凶暴な独り言はおいておいて、ファッションの他にも、雑貨や特産品、コンビニエンスショップ、そしてグルメ店舗が、郊外型ならではの開けた間取りで展開していた。
ファッションブランドショップや全国展開をしているショップは、僕たちが住む近くにも大型アウトレットショップ(*003)があるので、見る必要はないよね♪といいながら、やっぱり気になるお店には入ってしまう。買わなかったけど。
中でもコーチの人気はやはり絶大で、人数制限の入店規制を行っていた。
世界でも有数の避暑地であり史跡あふれる軽井沢のマイナスイオンに満ちたすがすがしい空の下、ブランドにむらがる人々をかきわけ、僕たち夫婦はお土産探しを始める。
妻が入店して0.001秒で気に入ってしまったのが、写真の軽井沢ファーマーズギフトとサンクゼールで、同じ店内にある。
軽井沢の雰囲気をよく捉えた食材商品のお店で、ジャムやジュース、フルーツソース、ドレッシング、漬物、ハムやワインといった自然食品のお店。店内ではほとんどのジャム、フルーツソース、ドレッシングを試食することができ、そのせいもあって店内は賑わっていた。
食べることはもちろん、調味料やスパイスに目がない妻を、僕は入店して1秒で見失ってしまった・・・。試食とは思えない食べっぷりの他のお客に混じって、いつにない素早い動きで勇猛果敢に試食ツアーに挑む妻であった。
試食は実に大盤振る舞いで、各種ジャムやドレッシングを置いてある小さなクラッカーにつけて、いくらでも食べられるようになっていた。
1日でどれくらいの商品が試食で消費されるのかが、結局僕がこの軽井沢にいる間、つまらないことだが一番知りたいことだったのは事実・・・。
とにかくすごい!アンタ、それ試食に見えませんよ、食事ですよ!2つで十分ですヨっ!といった感じのお客がけっこういる!
子供に「どうだっ!いっぱい食べたかっ!」と、満腹感を漂わせる子供に満足そうな満面の笑みで問いかけるお父さん。笑える。
・・・僕も結構満たされた。
絶対買わないけど笑えるものが大好きな僕と、かなり買いたがる笑えるものが大好きな妻が、見つけたカエルのオブジェ。
最近よく目にする植物系素材で作った動物モチーフのオブジェだ。「アルテサニア」というショップのショーウインドウに飾ってあったもので、その30cmはあろうかと思われる大きさと、無防備なまでに無垢なニコニコ笑顔が僕たちのハートを撃ち抜いた!
実は僕と妻は、カエルが大好きだ!(*004)僕はほんものの動くカエルも、全長3cmまでのアマガエルなら大好きだけど、妻はオブジェと写真だけという偏りのある偽カエル好きだ。かわいらしい小さな生まれたてのアマガエルを、それはそれはうれしそうに携帯写メするくせに、撮影中にカエルが自分の方に飛び跳ねると、これでもかと思うほど驚き慌てふためいて逃げ惑う。体積はカエルの1万倍はあるくせに、勇気はカエルの1万分の1の妻なのだ。
話は脱線したが、このカエルのオブジェ、僕たちが帰る日に無くなっていました。軽井沢でこの巨大なカエルの頭のオブジェを買う人、・・・われわれ夫婦と仲良くなれそうな気がする。イカしてる。。。
カエルに大満足して(?!)、さらにアウトレットの奥へ行くと、「軽井沢 旬粋(しゅんすい)」という信州蕎麦(ソバ)を扱ったお店で、ソバ地のクレープ生地を使ったクレープを売っていて、それに妻がすぐに釣られた。
辺りに漂うクレープの甘い匂いの中で控えめに僕を見あげる妻が切ない・・・。(*005)
とにかくクレープにご執心で、このショップが蕎麦を扱っていることには、まったく眼中になかった。
こうしてざっと広大な敷地にある各ショップを流し見して、常に脱線しながらも妻がなんとかお土産の目当てをつけた頃には、だんだんと日が暮れていた。
とにかく僕たちの近所で足りるアウトレットショップを今日とお土産を買うとき以外見るつもりはまったくなかったので、それでも見落としがないように歩き回り足の裏がかなり痛くなってしまった。お腹も空いてきたので、明日の本格的な軽井沢堪能に備えるべく、それはそれはとってもいつにない素敵なご馳走を食べようとフロアガイドをのっぴきならぬ真剣さで見つめ、各々の意見で討論をした。
そしてそのうち、えっ、ちょっとおかしいんじゃないか?!ふたつで十分ですよ、えぇえぇ、と思えるようなことに気づき始めたのだ!この日は風が強く、さらにとってもとっても寒く、日が暮れるにつれて季節を裏切るほどの猛烈な気温低下を招いたのだった。
ペンションについた時、何気なく見た寒暖計はすでに冷蔵庫並みの寒さを感じさせるほどであったが、日が暮れて冷凍庫並みとなり、さらに風が吹くので体感温度はアラスカ並みとなった。
ショップを巡り歩いている途中、敷地を横切るために、中央にある「芝生のひろば」(*006)という、かなり下手くそなそこいらの公園以上に広い芝地を歩いたのだが、もう吹きっさらしで横切ってショップに入るまで、かなり辛抱ヤン坊マー坊天気予報だった。
後日、妻がショップの店員の話を聞いたところ、この日は軽井沢でも珍しいほどの寒さで、普段そんなにあることではないらしい。でも基本的に長野はこの時分、夜はまだ冷え込み昼との寒暖の差が激しいのが通常なのだとか。
とにかく全国的に5月に入ろうとするゴールディンウィークだというのに、いくら高原気候の長野軽井沢にあって、これは反則的な寒さだった!
先日テレビで見たとき安住アナが4月にしては着込んで歩き方がぎこちないな、と思ったのだが、納得いった。寒すぎたんだね、きっと。
近県から観光に訪れていた観光客の着ているものはさまざまで、知っていたかしっかり調べてきたかで冬服であったり、もう天真爛漫な春使用の薄着であったりとさまざまだった。
特に若い女の子ほど薄着で肌の露出が多く、寒いのだろうけど平気そうな感じで、ミニスカートで歩いていた。
とにかくみんな風をさけて、興味がなかろうと近場のショップに飛び込み一息ついては、隣のショップに飛び込み、だんだんとそうやって目的のショップに近づいていくようであった。
僕は出かける前に最近の軽井沢の温度を確認して、妻との仕度をして来ていたのだが、その仕度の守備範囲をしっかりハミ出すすぎる寒さで、妻の疲労度が気になった。
ショーウインドウに写った僕の顔が、寒い空気と忍び寄る疲労とで、しわっぽくなった感じになっていたので、ぎょっとした。冷気と乾燥で、肌からどんどん水分が失われてゆくのだった。干物になってゆく僕。。。
あまりの「ようこそ!熱烈歓迎!!」的な寒さの応酬に、軽井沢初日のグルメを語る途中で、一章分も使って、この日の寒さを激白してしまった・・・。
それで風と寒さがしのげる施設案内所があって、そこに一時退避して軽井沢初日の夜を記念するようなディナー♪を堪能するべく、僕と妻は備え付けの情報誌などを寒さでこごえる手でめくりながら、食欲だけが熱く高まりつつ、どのお店に入るか協議した。(*007)
こんなに寒いのに融通のきかない施設案内書は、エアコンディションをまったくする気配がなかった。快適な温度設定をすると、たむろする観光客が出て行かないとでも思ったかのように・・・。
いろいろなおいしそうなお店があったが、僕たちはこのころになるとけっこう消耗していたので、いまから軽井沢の見知らぬ小道を入って、レストランなんか探せる体力と気力はなかった。が、食べる力はいくらでもあったので、ではこのアウトレットショップ内のグルメエリア「味の街」で済まそうと。
パンフレットをぱらぱら見つつ、迷いまくってしまったので、では直接見てきめましょうということで、また寒い吹きさらしの中をみなしごのように体を縮ませて、各グルメショップのショーウインドウの前をあっちをウロウロ、こっちをウロウロしたのだった。(*008)
で、見て回ると、この日この夕刻時の一番レストランが混むであろう時に、なぜかほとんどのお店ががらがらでまったく人気の無い店さえ珍しくなかった!そうすると人の心理で、なにか問題があるのではないかという疑心暗鬼がむくむくと起こり、ただでさえ何を食べるか決めかねているのに、さらに店内に入りにくい状態となってしまった。
このアウトレット施設内の「味の街」エリアは30店近くあるのに、パンフレットで見るより、はるかにボリュームにかけるものであった。
なんだかここだけ駅の雑居ビルのフランチャイズ店的な感じぷんぷんで、われわれの優雅なる軽井沢初日の夜を飾るにふさわしいと思われるお食事どころとして決定するには、ツラいものがありすぎた。
しかしこの風と寒さである・・・。もう優雅でハイソサイエティーなディナーなんだとか言ってられなくなり、もう「シャンデリアの下で君の瞳に乾杯!」なんかは明日でいいよね、明日で!今日は無礼講でくだけていっちゃおう!と、ブレイクしてしまい、観光客から普通の人に戻った視線で、店を決めた。(*009)
それで「寒い→温まりたい」の消極的かつ短絡的な理由で、グルメエリアを足を引きずって徘徊した最終的な判断で、「頑固ラーメン味平」に決定。
何が「頑固」なのか?、何が「元祖」なのか?、確かめる余地も余裕もないまま、とにかく体を温め足を休めたいがために入店。
軽井沢を特徴づけるラーメンをメニューで探すが、いまいち僕たちの琴線に触れるものはなく、もしかしてもしかしてフランチャイズ経営なのか?!しかもカウンター内はもうちっと片付けようよ!的雰囲気がじわじわと感じられてくる。フランチャイズ・スタイルが悪いわけではまったくないのだけど、何か軽井沢的なここだけの味を捜し求めている僕には、さらに心を冷え込ませる材料となった。
それでも暖かい食べ物はうれしいので、僕と妻は二人とも一番無難そうな「豚骨ラーメン」をちょいっすチョイス!味の方はといえば、僕と妻が食べた分だけの感想でいえば、並のちょい下。「寒かったときに食べる汁物感」というのが、最大のスパイスであった。旧銀座通りにもお店があるのだが、違うのかな?
微妙な気持ちのまま、それでも食べ終わりひとごこちついた僕たちは、これで少しは体が温まったに違いないと思って、店の外へ出た。3秒で、また体が冷えた・・・。
「いい加減にしてくださいよっ!ふたつで十分ですよっ!えぇえぇ。」と心の中で、軽井沢の恐るべき寒さに文句をいいながら、きっとペンションに帰って筋肉が弛緩したら胃袋も広がって、夜食を食べたくなるに違いないと思ったので、どうしようかと思って妻の「?」な顔を気にせず、あたりを見回した。すると「頑固ラーメン味平」の3軒となりの店舗「せんまい田」が店仕舞いを始めていて、店頭の160〜190円のおにぎりがすべて100円で、まさに売り出されようとしていた。(*010)
これは幸い!と、おにぎり大好き星人の妻とおにぎりまぁそこそこ好きだね星人の僕は一緒に飛びついて、5、6個を買った。この「せんまい田」は、佐久平産コシヒカリ(ごろべえ米)のみを使用し、有明産焼きたてのり、天日海洋塩を使用したおむすび専門店だ。素材にこだわりが伺われるが、サイズが正直小さすぎる。上品といえば上品なサイズだが、形もあえて手作り感をねらってか微妙・・・。でも普通においしかったよ♪
なんていったって、合成保存料&着色料&添加物なしというのがやっぱりいい!
こうしておにぎりを買うとペンションに帰ろうとしたわけだが、けっこう疲れが激しくなり、おまけにこの有り得ない寒さで、十数分程度の道のりが果てしなく遠いように思われた。
帰る途中、ローソンがあることを知っていたので、ビールやソフトドリンクなどの飲み物やおつまみ、お菓子を買うために立ち寄った。
馴れない観光地にあって、どこでも見る全国的に均一した商品の購入とサービスが受けられるコンビニは、まさに安心できる「マチのほっとステーション」だ。(*011)
田舎の観光地にあって、店の営業時間が早かったりすると、もうホテル据付けのやたらと暴利な飲み物や食べ物を前に、夜中お腹を空かせて買いたいけど買いたくないとじりじりしたくはないので、訪れた先でコンビニや公衆トイレ、もしものときの病院やATMなど、かんたんに確認しておくようにしている。
助かっているのに、軽井沢まで来てコンビニか、という気持ちがぬぐいきれないまま、店内を物色・・・。僕はビールと御つまみになるようなものがあればいいので時間がかからない。
しかし妻は女性にあってご他聞もれず、ちまちました甘味デザートの選択に忙しく、あっちこっち巡るましく動き回っている。どうやら買いたいものが決まった様子を見ていると、マガジンラックへ向かう!そしてすっと手を伸ばした先にあるものは・・・。
そうっ!クロスワードパズル!
妻の旅のお供!そいつの名前はクロスワードパズル!!(*012)
軽井沢まで来て、おぉクロスワードパズル!!!
YOUもやっちゃいなよ!クロスワードパズル!!!
宿泊先のベッドの上で延々挑戦し続けるクロスワードパズル!!
旅情に浸っている僕にいちいち水を差すようにヒントを求める!!!
そうっ!それは妻のクロスワードパズル!!
・・・今回は特にペンションのテレビが有料だったことを、特に妻なりに配慮したからなのだろうけど、正直あのペンションの部屋でクロスワードパズルに耽るなんて侘し過ぎたので、妻の肩に手を掛けて言った。
「テレビ、見てもいいんだよ・・・。」
妻にとって興味は、「クロスワードパズル < テレビ」の不等号図式となっているので、もうテレビがあればこんなものしないわ!なんて顔をしていたが、去年はベッドの上で寝そべって足をぷらぷらさせながらテレビをつけてながらクロスワードパズルに夢中になっていたことは記憶に古くない。
こうしてクロスワードパズル危機を乗り越え、買い物を済まして、冷え込みのきつ過ぎる軽井沢の夜空の下、ペンションへ戻った。写真は軽井沢駅前の展望用の張り出しから、町を眺めた夜景。ブレちゃったっ。。。
戻る途中、ふと見上げた夜空に何か起こるのではないかと不気味な予感に襲われるくらい、大きく輝く金星が見えた。燃えながら落ちてくる人工衛星なのかっ、と疑うほどの輝きに、やっと軽井沢気分をはじめて感じたのだった。
ペンションに戻って、あとはひたすらリラックスしようと部屋着に着替えて、今日の旅を振り返りつつ明日の軽井沢ステイはこんなもんじゃないぜっ!と静かな闘志を漲らせていると、部屋着に着替えている途中の妻が固まった。首だけ動かして僕を見て言った。
「腰を痛めちゃった・・・。」
一日でほんわかした天気の関東から、華麗なる軽井沢の季節感を裏切る寒さの中に来て、動き回ったのがいけなかったらしい・・・。旅先に来ての体調不良はかわいそうだ。
妻をベッドの上でうつぶせにして、腰から背中、首筋を僕は丁寧に時間をかけてマッサージした。言うこときかないだろうなとわかっていても、一応言ってみる。
[僕] 「明日、痛むようだったら、二人でおとなしくしていようね。」
[妻] 「大丈夫!大丈夫!絶対大丈夫!」
[僕] 「でも軽井沢のローソンでクロスワードパズルを
買おうとした人は、観光しちゃダメだって、
武田信玄からメールが来てたよ。」
[妻] 「えぇ、信玄様からメールでっ!!!!!」
[僕] 「そう、しかもおそろしく絵文字いっぱいで。」
とにかく暖かいお風呂にでも浸かって、ゆっくりくつろいで明日の様子を見ようといってなだめた。
お風呂から戻った後は、僕はビールを飲んでいるうちに眠ってしまったらしい・・・。
うつらうつらしているぼやけた意識の中で、妻が1時間おきに有料テレビに100円玉を入れる音がチャリンと響く軽井沢初日の夜だった。(*013)
